米大リーグのホワイトソックスは27日のデトロイトで行われたタイガース戦に敗れて今季121敗目(39勝)に到達。大リーグ公式サイトによると、1900年以降のシーズンワースト記録。これまでは62年にメッツが喫した120敗が最多でした。
2024年、大谷が活躍するメジャーの舞台で、真っ逆さまに落ちていったホワイトソックス。しばらく120敗で踏みとどまっていましたが、ついに121敗目を喫しました。
そんなホワイトソックスですが、昨シーズン主力選手をたくさん放出したので、ここまで負け続けるのは想定内だったとも言われています。これは、タンキング(わざと負け続けてドラフトで有力選手を獲得する、貧乏球団によくある手法)を行い、数年後に黄金期を迎えるための下準備をしているとも言われています。詳細については、前の記事で述べていますので気になる方はご覧ください。
さて、本題に入ります。実はこのタンキングという手法はごく最近まで行われていませんでした。タンキングを行わず本気で勝ちにいき、今シーズンのホワイトソックス並に負けまくった2003年シーズンのデトロイト・タイガースは、43勝119敗とチームが完全に崩壊していました。その惨状を以下に載せていきます。
① 責任感の強いチームキャプテンがチームの脚を引っ張る…
この年のタイガース野手陣は点が取れないばかりか、守備も崩壊していました。主力でチームキャプテンであるボビー・ビギンソンは、怪我しているのに無理をして試合に出続け、さらに成績を悪化させてしまいます。チーム年俸の20%を貰っていて、尚且つキャプテンという責任を感じ無理をしましたが、かえってチームの脚を引っ張ることになりました。
しかもスタメンを張っていた野手陣は、ヒギンソンを除いて皆マイナーリーガーだったのです。もっともその中に、後に本塁打王に輝き、メジャーを代表する選手になるカルロス・ペーニャ選手もいましたけど。
②主力選手、有望選手がみんな怪我…
高額年俸を貰っているベテランや、若手有望選手が皆怪我をして機能しなかったのもこの年のタイガースの惨状を物語っています。ヒギンソン以上にチームの脚を引っ張る主力選手が多かったのです。
球団自体にお金がなく、数年間低迷が続いていたので、怪我人続出はチームにトドメをさす形になってしまいました。
③完全崩壊した救援陣…
この年タイガースのクローザーはマット・アンダーソンという選手ですが、こちらが2003年シーズンの成績です。
マット・アンダーソン 0勝1敗3S 防御率5.40
この選手がチームで1番良い救援投手だったのです。かつて、160キロに迫る豪速球を投げていましたが怪我の影響により、まだ若かったのですが140キロ半ばまで落ちてしまいました。その他の救援陣の成績は、
マット・ローニー 1勝9敗 防御率5.45
クリス・スパーリング 1勝3敗3S 防御率4.68
ジェイミー・ウォーカー 4勝3敗3S 防御率3.32
フランクリン・ハーマン 2勝4敗5S 防御率6.04
スティーブ・スパークス 0勝6敗2S 防御率4.72
ウォーカー選手はだいぶまともですが、その他の選手は話しになりません。恐ろしいことに、これらの選手は皆そこそこの年俸を貰っていた実力者や有望選手だったのに、怪我のせいでここまで成績が悪化してしまいました。
最後にこの年の1番の被害者である、先発陣の成績を見てみましょう。
④見殺しにされ続けた先発陣達…
この年のタイガース野手陣は打てないばかりか、守備でも投手陣達の脚を引っ張り続けました。エラーでランナーを貯めて、たとえ先発陣が踏ん張り続けていたとしても、引き継いだ救援陣が、次から次へとランナーを返してしまう…こんな惨状が毎試合起こり、敗戦数だけ積み重なってしまいました。以下に先発陣の成績を載せます。
ネイト・コルネーホ 6勝17敗 防御率4.67
マイク・マロース 9勝21敗 防御率5.73
ジェレミー・ボンダーマン 6勝19敗 防御率5.56
アダム・バーネロ 1勝12敗 防御率6.08
ゲーリー・ノッツ 3勝8敗 防御率6.04
20敗を喫した投手が1人、20敗に迫る投手が2人います。実力の無い投手の場合、シーズン途中で2軍に落とされていますが、この3選手はシーズンを完走しています。他に上げる選手がいなかったのも事実かもしれませんが、投球内容が悪くなかったので2軍に落とされませんでした。
防御率が高いのは、なんでもない打球でもお粗末な守備でヒットにされてしまい、後を継いだ救援陣も火消しせずに、ガソリンを注ぎにくる有様だったからです。
翌年以降、球団がまともな選手を補強してくれたおかげで、これらの先発陣は勝ちと負けが同じくらいになる成績を残しています。特に、ボンダーマンは、球界を代表するエースに成長しています。
そんなタイガースですが、3年後の2006年にはなんとリーグ優勝して、ワールドシリーズにまで出場しています。ボンダーマンやマロースといった選手も第一線で活躍し、この年負け続けた経験が報われる形となったのです。
以上、最弱球団2003年のタイガースの惨状についての項目でした。
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